研究概要 |
本年度は本研究を全体的に包括するフレームワーク作りを中心に進め,1編の論文を発表した。 これまで本研究ではFact Findingを中心とする実証分析を中心に進めることを検討してきたが,2008年秋に生じた金融危機(いわゆるリーマン・ショック)の影響が大きく,これまでの文脈の中で日本企業を分析するには考慮しなければならない疑問点・論点が生まれた。そこで本年は,会計制度の変更や企業観の変化(外国人投資家の台頭による「企業価値創造経営」)によって,企業の組織構造,経営戦略,そして管理会計システムがどのように変わりうるのか,あるいは変化してきたのかということについて検討を行ってきた。 次年度以降は,本年の研究を通じて得られた知見をもとに,連結中心のディスクロージャー制度への移行という世界的にまれに見る会計制度の変更が行われた日本において,企業行動がどのように変化したのかについて分析を進めていきたい。これには日本的経営と欧米的な企業価値創造経営との関係を検討する必要があり,多角的な分析を進めていく予定である。
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