研究概要 |
本年度はアンケート調査と財務データに基づく実証分析を通じて,2編の論文と2件の学会発表を行った。これらの論文・学会発表は,本研究課題の主たる目的である会計制度の変化に伴う企業経営の変化を明らかにする一端として,(1)これまで理論として構築されてきた日本的経営の現代的再検証,(2)日本企業の強みとされてきた強い組織文化が企業経営の中でどのように反映されているか,という2点を明らかにしたものである。特に(1)では,持株会社制度やカンパニー制度といった組織再編に関わる調査項目を反映しており,現時点における連結,あるいはグループ経営の現状を明らかにしている。また,回答企業全般として,メインバンクや事業法人株主といった日本企業を支えてきたと考えられる利害関係者は依然として重視しているものの,世界的に事業を展開している企業では,外国人株主の重視度が高く,あるいは企業価値や株価への重要度が高いことが明らかになった。 しかし,これらの結果は本研究の研究課題を明らかにする上での中途である。今後はこれらの成果をもとに,制度変更などの外部環境が企業内部のマネジメントにどのように影響を与えているのか,さらにはそれが証券市場などにどのように評価されているのかといった分析を進めるとともに,分析モデルの構築を図っていきたい。
|