インターネットの登場がもたらした流通チャネルの変化が社会厚生に与える影響を、2 つの寡占市場モデル(水平的差別化モデル、垂直的差別化モデル)を活用・拡張して理論的に分析した。1つは物的財に関する電子商取引の登場を分析した研究である。もう1つは情報財に関する電子商取引の登場を分析した研究である。前者では、電子商取引の登場は、小売市場の競争性を高め電子商取引を利用しない消費者にとっても望ましいが、企業の利潤も含めて考えると、その市場規模が小さい場合には、社会的に望ましくない場合があることが分かった。後者では、消費者にとっても社会全体にとっても電子商取引の登場は経済厚生の観点から望ましいことが分かった。
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