研究概要 |
本年度は,研究代表者が本年度以前に収集したデータを再分析することを通じて,消費者のオンライン空間での製品に関わる情報交換と消費者間の関係の構築という行動に関する研究成果を公表した。まず,オンライン・コミュニティを情報交換の内容によって類型化し,その類型ごとに参加動機やそこから受ける影響に違いが出ることを明らかにし,消費者が購買後に形成するコミュニティに対する重要性を検討した。このことにより,消費者はなぜオンライン空間で関係を形成するのかということに対するより本質的な動機に迫ることができた。さらに消費者間の関係により深く焦点を当て,消費者がアイデンティティ形成のためにオンライン空間で関係を形成するとことを実証的に明らかにした。そこでは,消費者のオンライン・コミュニティでの行動を,アイデンティティ形成のための自己イメージの構築と自己・他者との相互作用という視点からとらえ,そうした行動が実在するということ,さらにアイデンティティ形成動機の高い消費者はコミュニティにおける他者との関係性意識も高く持つということを明らかにした。以上の研究を通じて,消費者はオンライン・コミュニティへなぜ参加するのかということ,消費者はオンライン・コミュニティでなぜ関係を構築するのかということの一端を明らかにすることができた。 また,成果の公表までに至っていないものの当該研究の目的に沿ったアンケート調査を実施した。これについては,次年度以降に公表する予定である。
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