研究概要 |
研究課題における鍵概念であるフィードフォワード概念について, 当年度も国内外の文献の収集と検討を進めたが, 欧米においても管理会計やコストマネジメントの分析枠組みとして有用な説明概念であることが引き続き主張されており, 国内外を問わず当該概念に関する関心の高まりが持続していることが確認できた。そしてわが国企業における管理会計のフィードフォワード化のさきがけとなったトヨタ自動車における原価企画の生成事情および当時の家電産業・機械産業・自動車産業・造船産業・航空機産業における設計原価管理の慣行について, 引き続き文献研究と聞取調査に取り組み, 成果の一部については複数の学会で発表し, そのうちの一部の学会では査読付き学会誌への掲載の許可を得た。一方で国際的な学会での報告や国際的な学術雑誌への投稿のために英語論文の準備も継続した。当年度の研究成果の公表により, これまで複数の学説があった原価企画の起源の問題に対して,有力な学説を提起できる見通しが立ち, 国際的にも関心の高い原価企画研究に対して有意義な貢献を果たせる目処が立った。また予算管理におけるフィードフォワード化の進展状況については, 文献研究と聞取調査を中心にして情報収集に努め, わが国における先行管理型の予算管理実務の普及状況についての理論的整理と事例の収集が進み, 次年度以降に成果を公表するための準備を整えた。また研究課題に関する新たな検討事項として, バランス・スコアカードにおける先行指標の設定・管理の実態というテーマを引き続き検討し, 複数の企業において聞き取り調査を実施した。以上の研究成果についても, 複数の研究会で成果を公表し活発な討議を得た。
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