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2007 年度 実績報告書

日米中小法人の役員給与支給におけるモラルハザードの発生と防止に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19730297
研究機関北海道大学

研究代表者

櫻田 譲  北海道大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (10335763)

キーワード法人税法 / 役員給与 / 退職慰労金 / 損金算入限度額 / 功績倍率法 / モラルハザード / 重回帰分析 / 中小法人
研究概要

わが国法人に対する会計規定には、債権者保護を目的とした商法、投資家保護を目的とした証券取引法、公平課税のための法人税法があり、これらが併存する様をトライアングル体制と呼んできた。ところが近時、金融商品取引法の制定や投資家重視の会社法が制定されたように、コーポレートガバナンスに資する企業法の構築が求められ、一種のパラダイム転換が起きている。しかしこの流れの中で、もう一極の会計規定である法人税法は時代の要請から取り残され、経営者(納税者)モラルについての規定が無いと考えられている。また納税は強制的であるため、納税者にモラルを云々する余地はないとか、法人税法が単なる税金計算の枠組みを提供するだけの法律であるため、納税者のモラルを議論する意味はないと考えられているようである。
しかし、納税という特定の経済活動には、租税法という特定の枠組みが存在し、青色申告法人や適格といった条件に合致した者が、適正な納税という期待に従い、その中で自由に経済活動を営むという実態がある。そのように観てくれば、法人税法が単なる税金計算の枠組みを提供するだけで、同法における納税者の役割とそれた対する期待が存在しないとは言い切れなくなる。したがって法人税にせよ所得税にせよ申告納税である限り、公平課税を行う上での行儀の良い納税者のモラルが問われていることには疑いがない。逆説的に考えれば、全ての税金が賦課課税形態によって課税側で一方的に決定されるのであれば、納税者のモラルが問われる余地は極端に少なくなる。
そこで本研究は、租税法領域においても納税者に対する広義のモラル規定が存在すると考え、法人税法の役員給与規定と納税者(中小法人)の行動を観察対象とし、納税者行動に与える規範の実態を実証研究によって明らかにした。この分析の結果、法人税法が特に中小法人のコーポーレートガバナンスに貢献する可能性を示唆し、中小法人のモラル規制の一方途として、税法の活用が有意であることを提言している。このことから本研究の成果は今後の税制改正に有益な新知見を提供するといえる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 「法人税法規定と役員給与支給におけるモラルハザード」2008

    • 著者名/発表者名
      櫻田 譲
    • 雑誌名

      税務会計研究 19号(未定)(掲載許可済)

  • [学会発表] 「法人税法規定と役員給与支給におけるモラルハザード」2007

    • 著者名/発表者名
      櫻田 譲
    • 学会等名
      税務会計研究学会
    • 発表場所
      近畿大学経営学部(大阪府東大阪市)
    • 年月日
      2007-10-07

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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