研究概要 |
1,比例ハザードモデルの共変量の検討 モデルの前提である比例ハザード性(ハザード比が常に一定)を満たす共変量について検討し,共変量として組み込まれる財務指標が時間の経過とともにその効果が変化し,ハザード比が一定とならない時間依存性共変量の性質を有している可能性があることが新たに明らかとなった。また,倒産の可能性の高い状態から倒産に至るまでにいくつかのステージを経ている可能性があることから,より精度の高いモデルを構築するためにもステージごとにモデルを構築する必要があることが明らかとなった。共変量については,次年度のベースライン・ハザードの検討と併せて,引き続き検討を行う。 2,ゴーイング・コンサーン(GC)監査の実態,および意義の調査・研究 GC監査の市場における意義・役割を検討する目的で,GC情報がはじめて公表されたときの市場の反応について検証し,投資家は公式の開示日よりも前に利用可能な会計情報を用いて企業のGC能力を予測できる可能性が高いことから,予想通りのGC情報には反応を示さないとする結果を得た。期待外のGC情報については引き続き検証を行う。また,2005年と2006年のGC監査の実態について,業種別,市場別,監査法人別,記載理由別に調査・分析を行った(2003年と2004年については過年度に調査済み)。 加えて,2つの国際学会に参加し,最新のモデルを用いた実証研究など関運する研究の国際的な動同を調査した。
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