本研究のうち、本年度では売上高予測に関しての研究を行った。ここでは、企業評価において必要となる項目の一つとしての売上高予測に注目している。その際、経営者自身による売上高予測と企業外部者が入手し得る補足情報を用いた売上高予測、そして経営者や企業の補足的な情報に関係なく過去の売上高を用いる売上高予測について分析し検討を行った。今回は、特に店舗販売を主とする小売企業を対象とし、店舗について新規店と既存店に分け、そのような店舗に関する補足情報を用いた売上高予測を行った。結果は、企業外部者には知りえない情報をもっている経営者による売上高予測が最も精度が高かった。補足情報に基づいた売上高予測は、経営者予測ほどの精度の高さは伺えないものの、それでも過去の売上高を用いる売上高予測よりは大いに精度が高いものであった。そして、補足情報を開示している企業の経営者予測が高い精度を有していることも明らかとなった。これは、補足情報を開示することが、経営者の予測に対して正確性を要求することとなり、結果として、企業の開示情報の信頼性を問われるものと考えられる。このことは、2004年3月期決算から導入されたMD&Aの有用性を主張できるものであろう。
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