日本における環境保全のための手法開発および企業実践は、現在に至る10年で大きく前進した。しかし、企業における内部利用を目的とした環境管理会計の導入および社内展開に成功する企業が存在する一方で、複数の企業で潜在的なコスト削減額の調査段階から先に導入が進まないことが問題となっている。そこで、本研究では、環境管理会計手法の導入および社内展開に関する企業実務を明らかにすることを目的とする。本研究によって環境管理会計情報を社内展開するためのマネジメント活動の実態の分析を行うことを通じて、企業の環境管理会計情報と企業の経営管理活動の関連性についての一般化を視野に入れた研究の蓄積が期待できる。 平成19年度の目的は、環境会計および管理会計領域の理論分析と事例研究のための準備および予備的調査であった。まず、環境管理会計分野における最先端の手法開発の動向を把握するとともに、管理会計領域におけるマネジメントコントロールおよび導入研究に関する考察を深める必要があった。そのため、本研究の最初の段階として、環境会計および管理会計に関する文献をもとに理論的な分析を行った。海外における最新の研究動向を把握するために、海外の学会への参加を行った。 次に、環境管理会計の導入に関する定性的な調査を実施するための準備および予備的調査を行った。調査の準備として、環境保全または会計に関する国内の学会や研究会、およびセミナーに参加した。さらに、日本企業における環境会計の実態の把握も有意義であると考えられるため、本調査のための予備的調査として、環境報告書で開示された環境会計に関する定量的な調査を実施中である。
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