平成19年度における「業績とは何か」という問題に関わる歴史的な動向についての検討を踏まえて、20年度は、経営者業績観と企業業績観という2つの業績観と管理可能性概念、実現原則さらにはリサイクリング(未実現保有損益の実現後における純利益計算への振替ないし再分類調整)との関係を整理しながら、純利益概念と包括利益概念の会計計算構造上の位置を整理するとともに、制度的な意味において、それらがどのような意味をもつ概念として提起されているのかについて検討した。と同時に、マネジメント・アプローチなど業績報告書の表示に関わる重要な論点についても検討を加えた。 また、業績報告をめぐる問題が国際的なディメンジョンにおいて議論されている現状に鑑み、業績報告に関する会計基準設定プロセスへの参加構造と形態(誰がどのような問題に関心をもち、当該プロセスにどのように関与しているのか)を分析しながら、IASB/FASBの共同プロジェクトとして取り組まれてきた業績報告プロジェクトにおいて、なぜ、利益ないし財務業績の「二元化」という方向性が打ち出されてきたのかについて検討を加えた。ここでは、19年度におけるFASBの関係者へのインタビュー調査の内容について検討を加えた。
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