本研究では、コーポレート・ガバナンスを広義に捉えて、必ずしもエージェンシー理論に立脚することなく、多様なステークホルダーによるガバナンス・メカニズムに組み込まれたものとして企業の情報開示を捉えて、企業の情報開示のあり方を考察する。特に、こうしたガバナンス・メカニズムの一環としての企業の情報開示は、企業の戦略的動機に多分に影響を受けると思われるので、本研究では、特に、企業戦略とのかかわりにおいて企業の情報開示に影響を与える要因とその効果を解明することを目的とする。 従来、会計学研究においては、投資家(株主)以外のステークホルダーに対してはあまり関心が向けられていない。これに対して、本研究では、投資家と同程度の重要度をもってその他のステークホルダーにも焦点を当ててコーポレート・ガバナンスを広義に捉えるとともに、コーポレート・ガバナンスとのかかわりにおいて企業の情報開示のあり方を考察する。また、本研究では、通常用いられる日本語で記述されている文章で構成されているテキスト型データに着目する。そして、この種のデータを定量的に分析するための新しい手法である、テキストマイニングを利用して、企業が情報開示に取り組む戦略的動機を解明する。
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