本年度は、来年度予定している生活クラブ生協・東京を対象としたアンケート調査実施に向けて、2月に戸配組合員である委員に対する集団面接調査(対象21名)を行った。北海道よりも早く戸配への転換と組織改革を行っていた東京においては、北海道とは異なるキャリアパターンを有する役員・委員の存在が顕在化しているが、それでもなお未だに、全体の戸配組合員の割合に比べて、役員・委員の割合は相対的に少ない。その一方で、東京では、戸配出身の役員・委員の地位はすでに確立されており、不可欠の存在となっている。 上記のような状況は、北海道で行ったアンケート調査を踏まえつつ、リーダー層の再生産という課題についての、班の解体による『悲観論』が杞憂であり、むしろ個人化の進展した今日的な状況下で、ある意味では班の解体は必然であるとともに、リーダー層の再生産に対して、班の貢献は評価されなければならないものの、もう一方で、それは限定的に捉えなければならないという、本年度5月に行われた地域社会学会大会報告における仮説的結論が支持される結果を得ることができた。 また、本学ホームページにおいて公開した業績をきっかけに、神奈川県を活動エリアとしている福祉クラブ生協より『トップ共育』へ招待され、ワーカーズコレクティヴの代表者の方々とコンタクトする機会を持つことができた。すでに行った北海道におけるアンケート調査と来年度行う予定である東京でのアンケート調査に加え、神奈川を加えた比較研究の可能性が拓けたことは、本年度の大きな収穫であった。
|