グローバル経済のもたらした弊害に直面する世界中の底辺層が貧困に悩まされている中、社会的経済やNPOなどの第三セクターの重要性があらためて指摘されるようになった。そして、日本もその例外ではなく、小泉内閣以降、公共事業を介した再分配(広井)に象徴される日本型福祉がリストラクチャリングを余儀なくされる中で、大量の貧困層が生み出されることとなった。そのような状況下で、日本でも社会的経済の重要性が問われている。 本研究は、生活クラブ生協を事例とし、実証研究を踏まえながら、日本の市民社会における第三セクターの成果と課題を検証するとともに、今後の展望を、実践者との協働の中で考え、今後の活動の活性化につなげていくことを究極の目的としている。そのような目的を踏まえつつ、本研究で最低限明らかにすべき課題として、第三セクターの活動の原動力となるリーダー層の再生産問題を設定した。 生協は、組合員の自主自立的活動によって支えられている部分も多く、そうした活動を企画し、牽引する、リーダー層の存在がきわめて重要である。数ある生協組織の中でも、生活クラブは活動の多様性と質の高さで群を抜く存在として認知されている。しかしながら、ポスト高度成長期において組合員の大半を占める主婦の標準的ライフスタイルが大幅に変化を遂げ、専業主婦の存在を前提とした組織運営に限界が見えるようになった。そこでの課題のひとつが、リーダー層の再生産問題だったのである。 本研究においては、リーダー層の再生産問題を、生活クラブ生協北海道を対象として、(1)役員や委員長といったコアリーダーのキャリアパス分析と、(2)派生的活動である代理人運動およびワーカーズコレクティヴの参加者に対するアンケート調査の2つによって解明しようと考えた。
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