研究概要 |
本研究の目的は、1959年にアメリカの社会学者ロバート・ブラッド(Blood, R.O., Jr.)を中心とする東京都立大学および東京教育大学の研究者グループが、東京の3つの団地住民に対して実施した「都市家族の配偶者選択及び夫婦関係調査」の個票データの再集計作業をとおして、戦後日本における結婚と夫婦関係の変容過程を再検討することにある。この調査の結果は、ブラッド著(田村健二監訳)『現代の結婚日米の比較』(1978年、培風館)という書籍においてすでにまとめられているが、本研究は、さらに詳細な分析を行うべくこれを再入力・再分析するものである。421組の夫婦(842人)に対して実施された調査原票が残されているものの、データ・ベースの作成にあたっては、学歴(最終学校)や職業などのフェイス項目が自由記述であり、これを変数化することの困難に直面した。分析前に行なうべき諸手続きにかなりの時間を割く必要が生じ、平成20年度末にようやく基礎集計結果をまとめた第一次報告書を刊行することになった。今後、より詳細な分析を行い、早急に論文としてまとめていく予定であるが、これまでの分析における主たる成果は、ブラッドが高い関心を寄せた「夫婦の伴侶性」が、時間(結婚年数の経過)と子ども(長子の年齢によるライフステージの進展)によっていかに変化するかという点について、上掲の文献中において記号(+、-)でのみ示されていた箇所を数値化して示し表すことができたという点である。ひきつづき、データの解析作業を進めていきたい。
|