外傷や疾患治療後の傷あとという、生得的でない外貌の損傷は、当事者にとってはその後の人生に大きな影響を与える。医療現場においては疾患や外傷自体の治療が第一の目的とされ、当事者が治療後社会へ復帰していくうえで必要となるフォローまではまだ手が及んでいないのが現状である。わが国では、熱傷受傷者の唯一の団体として「熱傷フェニックスの会」が存在する。当会は熱傷協会からの独立とともに近年NPO化を果たし、会としての発展を目指していたが会として重要な構成員の変更などのため会の運営が停滞しているのが現状である。一方、世界で最も熱傷患者の治療数が多い韓国では、病院を中心とした支援団体が結成され、医療社会福祉士の支援も日本よりも確立されている。これらは熱傷受傷者全体の社会復帰にも関係しており、今後わが国の医療機関、患者団体においても、韓国の先進的な取り組みを参考にしつつ、わが国独自の支援システムをさらに構築していく必要がある。
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