平成20年度は、平成19年度に続き、仕事を通じた社会的資源の配分過程において、社会的関係要因一他者が女性としてあるいは非正社員として存在していること-が何らかのインパクトを与えているのか、与えているとしたらそれはどのようなものか、という2点について、解明することを具体的目的として、理論的な研究および統計的手法を用いた実証的研究を行った。具体的には、以下の通りである。 第一に、非正社員や女性雇用者の増加が正社員(特に男性正社員)に与える影響について、どのような研究成果が得られているかを、1990年代以降の論文をもとに、レビューした。このレビューの結果については、10月の日本労働社会学会大会シンポジウムにおいて発表した。また、この報告内容をまとめたものについては、論文として掲載予定である。 第二に、仕事を通じた社会的資源の配分過程の分析において社会的関係要因を考慮すべきことを、先行研究の整理を通じて理論的に論じた論文を執筆した。この論文は東洋大学現代社会総合研究所の年報『現代社会研究』に掲載された。 第三に、お茶の水女子大学21世紀COEプログラム「ジェンダー研究のフロンディア」において実施された調査「労働組合とジェンダー」のデータを用いて、正社員の昇進見込み判断に職場の女性や非正社員の存在が与える影響について分析した。この研究成果についても論文にまとめた。この論文は投稿後の改稿作業中である。
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