平成21年度は、平成20年度に続き、仕事を通じた社会的資源の配分過程において、社会的関係要因-他者が女性旨としてあるいは非正社員として存在していること-が何らかのインパクトを与えているのか、与えているとしたらそれはどのようなものか、という2点について、解明することを具体的目的として、理論的な研究および統計的手法を用いた実証的研究、および事例調査を行った。具体的には、以下の通りである。 第一に、昨年度日本労働社会学会大会シンポジウムの報告内容(非正社員や女性雇用者の増加が正社員(特に男性正社員)に与える影響について、どのような研究成果が得られているかを、1990年代以降の論文をもとに、レビューした)をまとめ、論文として公表した。 第二に、お茶の水女子大学21世紀COEプログラム「ジェンダー研究のフロンディア」において実施された調査「労働組合とジェンダー」のデータを用いて、正社員の昇進見込み判断に職場の女性や非正社員の存在が与える影響についての分析結果を改稿し、公表した。この論文については、翻訳後国際学会にて報告する予定である。 第三に、中小企業における労働市場の女性化・非正規化に特に焦点化し、いくつかの中小企業において、従業員の女性化・非正規化が男性正社員にもたらした影響について、事例研究を行った。この調査は今後も継続する予定である。
|