2005年10月末にパリ郊外で始まった「暴動」は、フランスの移民とその子弟が抱える社会、経済、人種、宗教、文化問題の存在を露呈させる結果となったが、実際に同様の事件は1980年代初めから移民の集住する大都市郊外でくり返し発生してきた。本研究はこうした歴史的経緯のなかに2005年暴動を位置づけ、90年代以降行われてきた一連の「暴動対策」の成果と問題点を明らかにし、2005年暴動後に地域レベルで行われている新たな取り組みを検証し、特に行政と移民のあいだを結ぶ存在として活動を行うNPO団体が形成するゆるやかな地域ネットワークとその機能・役割・課題の実態把握とその分析を目指す。
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