本研究の目的は、産業・労働領域における「心理学化」や「医療化」に関する理論的研究ならびに質的調査を行い、「個人化」する社会における社会的連帯の可能性について考察することである。メンタルヘルスケアの現場での参与観察やEAP(従業員支援プログラム)会社の関係者にインタビュー調査を行うことによって、従来であれば政治経済的な次元で議論されていた労働問題や人的管理が「心の健康管理」の問題として再定義されていくプロセスと、その社会的帰結について明らかにし、そのことを通じて「個人化」した社会での社会的連帯について検討している。
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