2008年度は、研究計画に基づき、宮古島、座間味島、沖縄本島のダイビングショップを調査し、また、東京に日本のダイビングの歴史のインタビュー調査に赴き、二人のインフォーマントにインタビュー調査を行った。さらに、座間味・沖縄本島で行われている障害者ダイビングの調査を行い、スクーバ・ダイビングの可能性について分析・考察した。 論文「日本におけるスクーバ・ダイビングの変容 : 1950年代から1990年代まで」では、日本におけるスクーバ・ダイビングの変容を解明した。スクーバ・ダイビングは、その初期にはスピア・フィッシングを行うスポーツとして認知され、人気を博していた。しかし、ダイバーの増加にともない、漁業法との関係で、漁業協同組合の許可なく魚を採取することができなくなり、ある時期からスピア・フィッシングが行われなくなった。日本におけるスクーバ・ダイビングは、1960年代後半から1990年代にかけて、ダイビング・スタイルの変更を余儀なくされた。そこで新しいダイビング・スタイルとして登場したのが、潜ること自体を目的とするファン・ダイブであった。 学会発表「障害者ダイバーに対する支援と援助をめぐる社会的関係-支援団体とボランティア・スタップの役割-」では、障害者ダイバーに対する支援を行っている二つ団体に所属するボランティア・スタッフの役割について、社会調査に基づき報告を行った。障害者にとってダイビングは非常に自由度の高いスポーツ・レジャーである。これを支援するボランティア・ダイバーとそのスタッフの役割を考察した。サポート・ダイバーと呼ばれるダイバーにとって、支援行為はそれ自身それ相応のスキルを必要とされる。そのため、サポート・ダイバーの数が足りなくなっているという事態が生じている。今後の改善が望まれる。
|