平成19年度は平成18年度に公表された神奈川県の情報公表制度データを集計、分析することにより、介護保険サービスの課題を明らかにすることを目的とした。 始めに平成18年度神奈川県における情報公表制度データを集計・分析し、介護サービス評価指標を作成した。作成した評価指標により介護サービスの課題を抽出し、以下のような分析を得た。 居宅介護支援においては、サービスの内容に関する課題としては、利用者のプライバシー保護に関する研修や認知症ケアに関する研修の充実が挙げられた。また、ケアプランに対するサービス提供の実施状況を適切に把握すること、介護予防支援事業者との連携を図ることなどが課題として挙げられた。 事業所の運営に関する課題としては、事業所において、サービスに関する情報を介護支援専門員間で共有化する仕組みが構築されていない事業所が多いということが挙げられた。居宅介護支援業務は、かなり属人的な仕事であり、事業所としてサービスの質を確保するための情報共有や役割分担などが、多くの事業所において実施されていない割合が高いことが判明した。 また、事業所の改善課題について、介護支援専門員と管理者が話し合うなどの仕組みが十分ではないことや、利用者の意向や満足度をサービスの改善に反映する仕組みが十分でないことも課題として挙げられる。 今後、事業所においては利用者や家族の意向を反映して、ケアプランを作成するとともに継続的にモニタリングをするなかで、利用者や家族がサービスに満足しているかを把握し、サービスの質の向上に向けた取り組みを進めることが求められるといえる。 また、訪問介護、通所介護サービスにおいても同様の手法により分析を実施した。
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