専門職連携・専門機関連携に関する先行研究の分析とフィールド調査を行った。文献調査から、協働のバリア、協働の原則を抽出し、その枠組みをもとに先進的に包括ケアに取り組んでいる自治体の状況について、関係者からのインタビューと文献資料による調査を行い、分析を試みた。その結果次のような特徴があることが明らかになった。 (1)医師会を中心に、緊急蘇生への取り組みを基盤として「主治医機能」を重視してきた歴史があり、その延長線上として地域住民の包括的なケアのためには連携・協働が必要であるとの認識が広まっている。(2)医師会によって、基本コンセプト、主治医機能3原則などを提示し、関係者の行動目標を明確にするとともに、地域住民への説明責任を果たしている。(3)94.3%の主治医がケアカンファレンスに参加しているなど、関係者の間で高い割合で目標に沿った行動が取られている。(4)医師会、社会福祉協議会、民生児童委員協議会、公衆衛生推進協議会、老人クラブ連合会などによる協働体制が敷かれたり、中核病院と医師会との懇話会が設立されるなど、強固な協働体制が確立している。(5)多様な研修を実施するなど、組織や地域挙げての学習機会を提供している。 以上の5つの視点をもとに、政令指定都市を中心とした自治体の、障害者自立支援法に基づく地域自立支援協議会における多機関の連携の状況と、その運営にかかる行政組織の取り組みについて聞き取り調査を実施した。 最終年度は残りの政令指定都市への聞き取り調査を継続し、事例分析をさらに深めていく予定である。
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