研究概要 |
平成19年度の研究実績については,まず(1)先行研究の動向とその整理・研究を行った。具体的には,(1)ソーシャルワーク理論(エコシステム視座,社会構成主義,エンパワメントなど),(2)障害者福祉(知的障害のある人をとりまく状況の理解),(3)コンピュータ支援ツールに関連する情報科学(特に数量化と計算方法への知識獲得),(4)調査方法(インタビュー法やアンケート調査法など)について幅広く渉猟した。特に協働アセスメントを通じて知的障害のある人のエンパワメントを促進するためには,その理論背景となるエコシステム視座と社会構成主義の関係性の検討がまず必要となる。その点については,先行研究を整理し,その特性分析を進めているところである。 次にコンピュータ支援ツール開発に関しては,上記の文献研究とともに,エコシステム研究会への継続的な参加と,知的障害者関連施設に従事する職員などへの聞き取りを通じて,ツールを利用者と協働開発する手段、手順について整備・検討した。その成果については,太田義弘編『ソーシャルワーク実践と支援科学-理論、方法・支援ツール・生活支援過程-』(仮題:2008年度出版予定)に掲載する予定となっている。 また平成20年度については,知的障害のある人や家族,職員に対して,支援ツール開発に関する調査を行いたいと考えているため,その方法についても検討した。特に支援ツールの質問項目の作成については,知的障害のある人へのインタビューを継続的に実施して,質的研究法により考察する予定である。そのため,インタビュー手続き,記述・内容分析を行う手法・過程について整理を行った。
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