平成21年度の研究実績については、まず(1)先行研究の動向とその整理・研究を引き続き行った。具体的には、(1)ソーシャルワーク理論(エコシステム視座、社会構成主義、エンパワメントなど)、(2)障害者福祉(知的障害のある人をとりまく状況の理解)について幅広く渉猟し整理を行った。特に協働アセスメントを通じて知的障害のある人のエンパワメントを促進するためには、その理論背景となるエコシステム視座と社会構成主義の関係性の検討がまず必要となる。その点については、先行研究を整理しその特性分析を終え、理論構築を行った。 次に(1)コンピュータ支援ツールに関連する情報科学(特に数量化と計算方法への知識獲得)、(2)調査方法(インタビュー法やアンケート調査法など)の検討を行い、コンピュータ支援ツール検証のためのデザインを作成した。加えてエコシステム研究会への継続的な参加と、知的障害者関連施設の利用者家族とそこに従事する職員などへの聞き取りを通じて、ツールを利用者と協働開発する手段・手順について整備・検討した。 特に検証については、支援ツールに導入する質問項目の再検討を行った。またその質問項目の信頼性・妥当性を明らかにするため、他の尺度との比較、既存のコンピュータ支援ツールの質問項目との比較、さらには因子分析をとおした検証が必要となることが明らかとなった。またコンピュータ支援(ツールのビジュアル化については、知的障害や自閉症の人たちへのTEACCHや視覚支援などの先行研究や、アプリケーションソフトを通して検討を行った。
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