今年度は、リスク評価尺度試案の妥当性、信頼性を検証することを目的に研究活動を展開した。まず、昨年度、国際生活機能分類(ICF)の概念を援用して作成した評価尺度試案について、フィールドトライアルを4ヶ所のグループホームで実施し、評価尺度試案の内容的妥当性の検討を行った。その結果を踏まえて、リスク事象に関する15項目、生活機能に関する63項目、活動に関する11項目からなる「グループホーム支援評価尺度試案」を作成した。なお、尺度の名称変更は、フィールドトライアルの結果を踏まえ、評価の対象をリスク事象に限定せず、リスク評価を含む生活領域全般の評価指標としての可能性を検証するためである。 その上で、評価尺度試案の妥当性及び信頼性を統計的に検証するために、グループホームの世話人とサービス管理責任者を対象とした質問紙調査を実施した。具体的には、東京都と神奈川県に所在するグループホーム216施設、648名の世話人及びサービス管理責任者に調査票を配布し、53施設より144名分の回答を得た(回収率22.2%)。 調査データについては、因子分析により評価項目の内容及び構成の適切性を確認した。生活機能項目とリスク事象項目との相関を検定したが有意差を認める因子は検索されなかった。また、α係数による尺度の内的整合性の確認など信頼性の検定を実施したが、信頼性を確証するには至っていない。その要因として、グループホームの居住形態及び支援形態の多様性が影響していることが推察される。そのため、事例検討等を通じて概念モデルを再検討し、パス解析等を用いて再分析することが今後の課題である。
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