研究概要 |
本研究は、「日本語版Fraboniエイジズム尺度(FSA)短縮版」を用いて、都市部の若年男性におけるエイジズムに関連する要因を検討した。本年度は、おもにPalmoreのFAQ(The Facts on Aging Quiz)を用いた諸外国の研究レビュー、教育老年学(educational gerontology)における欧米でのエイジズム解消のための介入プログラム(およびその評価研究)のレビューをおこなった。 昨年度におこなった要因分析の結果(東京都の区市部および千葉県・神奈川県・埼玉県の市部に居住する25〜39歳の男性1,289人が分析対象)、加齢に関する知識(FAQのスコア)が低い者ほどエイジズムが強かった。この知見は、年をとるということが実際にどういうことなのかという情報提供および教育を通じて、思い込みによる固定観念が弱まる可能性があることを示唆している。事実、欧米におけるFSAを用いた介入研究は、「年齢意識に関するワークショップ」の実施が、高齢者に対する「誹謗」を弱めるという教育効果を示していた。日本においても、学校をはじめとする教育施設におけるエイジング教育のプログラム開発およびその評価・検討が重要になっている。 本研究以外にもFSA短縮版を用いた調査が着手されているが、Semantic Differential(SD)法を用いた老人イメージの研究と同様に、児童、高校・大学生、中高年といった異なる世代ごとの調査を実施することにより、エイジズムの性差、年齢差を検討する必要がある。
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