研究概要 |
本年度は、2008年度に実施した知的障害のある人の自己決定に関する調査データをもとに、知的障害のある人が持つ自己決定能力、そして、支援環境がどのように知的障害のある人の自己決定に影響を与えているのかについて分析を行った。分析方法としては、因子分析および重回帰分析を中心に行い、考察を加え、それぞれ査読付学会誌に発表した。 また、上記調査を実施する前から取り組んでいた文献研究をもとに、福祉現場実践において知的障害のある人の自己決定を尊重することの困難性やその理由にっいて分析および考察を行った。さらに,知的障害のある人の自己決定に影響を与えると考えられる個人要因や環境要因にっいて、文献レビューをもとに、分析および考察を行った。そして、これらの文献研究結果を踏まえ、査読付大学研究誌において、支援環境を含めた自己決定モデルを活用した実証的研究の提案を行った。ちなみに、これらの文献研究プロセスにおいて、2年前に実施した調査の枠組みを構築した。加えて、本報告書には間に合わなかったが、最終的に、これまでの研究結果をもとに、ケアマネジメント実践も含めた、知的障害のある入の自己決定を支える福祉援助実践に関する提言を公刊する予定である。 2007年度から取り組んできた本研究においては、当初の「研究の目的」および「研究実施計画」に記載した項目の中で、知的障害のある人の自己決定に必要な条件としての関連要因、生活施設における知的障害のある人の自己決定の状況、そして、知的障害のある人による自己決定を支援するケアマネジメント実践を含めた福祉援助実践に関する提言の3点について研究成果をある程度示すことができたといえる。しかしながら、知的障害ケアマネジメント実践における自己決定のための支援内容等に関する調査研究には取り組めなかった。これらの点については、今後の研究課題としたい。
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