2007年度の研究においてはインナーシティである東九条でもっとも過酷な差別をうけてきた旧40番地住民の移転先として建設された東松ノ木団地を基点に生活支援事業をおこなうNPO法人東九条まちづくりサポートセンターによる実践に着目し、東九条という地域が意味するもの、地域が求めた実践を探索するため関係者にインタビューをおこなった。その結果、改めて全住民のうち外国籍住民が66.7%をしめ、65歳以上の住民が43%と高齢化し、生活困難を抱える住民が増加していることがわかった。そして、在日1世と2世、オールドカマーとニューカマー、団地の自治活動への参加の異なりなど多様なサブグループの存在していること、情緒的サポート・日常的援助・緊急時対応・金銭管理が常時必要とされるなど生活課題が深化していく傾向があることがわかった。これらの課題に対する具体的な生活支援事業内容としては(1)高齢住民などへの個別生活支援(家族、他機関との連携を含む)、(2)集会所事業、(3)団地自治会のサポートなどが行われていたが、なかでも個別生活支援事業が大きな役割を果たしていることがわかった。家族機能の低さを補い、特に困難事例へのアプローチに際しては他の援助専門職の強力なパートナーとなっている。また老いゆく住民を他の住民がどのように受けとめるのかについても実践をおこなっているおり、社会的排除をうけてきた住民を小地域におけるケアサービスネットワークに包摂していく役割をしていることがわかった。
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