研究課題
これまでの一連の研究は、独立的自己観の起源が「経済的に動機づけられた自発的移住」という歴史的事実にあるという仮説に一致し、協調的自己観が優勢な日本文化にあっても、そのような歴史的事実が認められる北海道においては、北米と同様に、独立的自己観が見いだされることを示している。ただし、その独立性の特徴は、アメリカと北海道においては異なることも指摘されている。具体的には、北海道においては、アメリカ同様、個人の独立性を重んじる社会規範があり、この点において日本の本州とは異なる。しかしアメリカ人とは異なり、北海道人は独立性を内発的には希求しない、むしろ、他者との協調性を希求しているという点において本州の日本人と同様であることが示唆されている。本年度は、社会規範が関与していると考えられる選択課題を北海道、京都、アメリカで実施するための研究打ち合わせを行い、マテリアルを作成した。それに加えて本年度は、北海道大学およびミシガン大学の学生128名に対し質問紙調査を行い、独立性の社会規範を測定するための尺度を開発した。特にこの尺度では、独立性をなす要素のうち、自分自身および他者の行為にどの程度影響を与えたいかに注目した。そして、その程度に対する自分自身の信念と人一般が持っていると考えられる信念を測定した。その結果、自分自身が影響を与えたいかの程度は、アメリカ人のほうが北海道人よりも高かったが、しかし人一般の信念に対して差異は見られなかった。このことは、北海道には独立性の社会規範が存在するが、しかしそれは内発的ではないとする予測と一貫するものである。
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Human Nature (印刷中)
Japanese Psychological Research 49
ページ: 282-287
社会心理学研究 23
ページ: 181-186