ボランティアなどの活動を行うサークル集団やNPO団体における、スキル継承に関わる実態と問題を明らかにするため、面接調査を実施した。 実施対象は、ボランティア団体やサークルの運営に携わる市民・学生とし、障害者支援・老人介護支援・総合学習支援などのボランティア活動をメンバー自身が行う団体のほか、ボランティア活動を希望する人材と必要とする団体とのリエゾンを行っているボランティア団体も対象とし、さらに育児サークルNPO、スポーツ愛好サークル、リサイクル活動NPO、古典芸能(音楽)サークル、民俗音楽サークル、劇団なども対象とした。 調査内容は、団体の基本情報である集団の主な活動・団体の構成人数・活動形態・集団発足の経緯のほか、役職や業務の交代に関わる役職の交代方法の規則とその有無・周期、さらにメンバー間で継承されている知識・技能等のスキルの内容と、スキル継承に関して感じている問題や工夫を尋ねた。さらに面接調査の際、次年度実施予定である量的調査(質問紙調査)への協力への依頼を行い、協力への承諾を得ている。 この研究の成果は、多様なNPO団体においてどのようなスキルが継承されることが求められているかを明らかにし、さらにスキル継承が円滑かつ有効に行われるための要因を明らかにする上で重要である。また、スキル継承を円滑に行うための、集団状況ごとの対策リストをホームページ上で公開するという最終目的のための基礎的な知見であり、現場で活用できる情報を実社会に還元するための基盤となる。翌年以降の量的調査から得られる知見は、集団の存続・成長という集団単位での問題だけでなく、個人のスキル習得・成長・適応のための方略としても活用可能であると期待される。
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