研究課題
インターネットを通じたWebブラウザ上でのStrategy Methodによる公共財ゲームについて、システムの開発および調整と、その妥当性の検討を行った。行動指標や心理指標への遺伝環境要因の分析を行うには数百組の双生児データが必要である。実験室実験によりこれだけのデータを得ることは、過去の研究協力率の実績から現実的でなく、Webブラウザを用いた実験システムを開発した。2008年度はこのシステムを用いた実験について、1)オンライン上で双生児データを集めることの研究倫理的問題の検討、および2)オンライン上で公共財ゲームを行うことの妥当性の検討を行った。1)については、双生児レジストリを保持する慶應義塾大学文学部の研究倫理審査委員会の協力を得て、インターネット上のサーバに保持するデータの種類や、実験協力者への実験内容の説明について検討を進めた。2)については38名の大学生にオンライン上で実験を実施し、実験室実験で行われた先行研究(Fischbacher et al., 2001)と同様の個人差パターンが見られることを確認した。また実験参加者のうち10名にインタビューを実施し、オンライン実験においては、公共財ゲーム実験で求められる匿名性が、実験室実験の場合よりも、むしろ強く自覚されることを確認した。また、母胎内での雄性ホルモンの影響を受け、パーソナリティや社会的態度との相関が示唆されている2D4D指標(人差し指と薬指の長さの比)の双生児データについての分析を進め、きょうだいの共有環境が強い影響をもつという予測に反し、この指標の遺伝規定力が極めて強いことを確認した。さらに、次年度に公共財ゲームのデータ、2D4Dデータと合わせて分析するための社会的態度指標をオンラインで収集するためのアンケートシステムの開発を行った。
すべて 2009 2008
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