研究概要 |
平成20年度は、申請した3年間の追跡研究の2年目にあたり、対象家庭への質問紙調査とインテンシブ・グループの作成、および対人ネットワーク日誌と観察調査を実施した。質問紙調査に継続して回答したのは421家庭(男子213人, 女子208人)であり、インテンシブ・グループとして日誌と観察調査に参加したのは140家庭(追加募集した家庭を含む)であった。 2時点にわたるアンケート調査データを解析し、1時点目(0歳)の家族の人数、きょうだい数、託児施設の利用有無、母親が子どもに抱く信頼感、子どもの他者に対する親和的傾向(「人と一緒にいるのが好きだ」など)と、2時点目(2歳)における親による子どもの仲間形成のマネージメントが、2時点目の子どもの仲間関係(仲間の数と仲間と遊ぶ頻度)に与える影響について重回帰分析により検討した。その結果、0歳のときに託児施設にいた経験があることや、2時点目の親による仲間形成のマネージメントが良質であるほど、2時点目で子どもの仲間関係が良好に形成されることが示された。その一方で、1時点目における家族やきょうだいの人数の多さは、子どもの仲間関係の形成を抑制する可能性があることも示唆された(R^2=.16, p<.01)。また、こうした変数が2歳時点での子どもの対人関係上の問題(「他の子とうまくいかない」、「よくけんかをする」など)に影響するかどうかについても検討したが、有意な影響を与える変数は見られなかった。
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