本研究は、会話スキルを向上させるためのトレーニング内容を開発することが目的である。まず、会話スキルの構成概念について検討し、測定尺度を考案する。そして、会話スキルトレーニングでは、自分の会話中の姿を客体視させる条件、会話スキルに関する知識を提供する条件、統制条件を設け、各条件下での会話スキル得点の変化を比較することで、会話スキルにもたらす客体的自覚および知識の効果を検討する。 平成20年度は、平成19年度に行ったワークショップでの議論を整理し、そこから見えてきた課題等について報告書としてまとめた。その結果、コミュニケーションカに関する多側面の向上が必要とされることが示唆された。そこで、本研究では、行動面である会話スキルのみならず、会話意識といった志向性、コミュニケーションカを伸ばしたいと自ら願うモチベーション、さらにコミュニケーションカに関する知識を多面的に測定する必要があると考え、各側面を測定する尺度の検討を行った。 また、トレーニング内容の検討を重ね、全般的なコミュニケーション行動に関する知識提供やそれらを客体視させるトレーニングだけでなく、聴き手としてのコミュニケーション行動に焦点を絞ったトレーニングを行うことで、課題の困難度の違いによる効果の違いも明らかにできるのではないかと考え、聴き手としてのコミュニケーション行動に焦点を絞った実験を実施した。また、全般的なコミュニケーション行動に関するトレーニングも行った。
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