19年度の研究成果「社会的に有意味な態度対象への好き嫌いを、刺激の単純な対提示によって操作可能であることを検証した」 2つの心理実験を実施した。 実験1では、全参加者の半数であるA群では語"日本"に対してポジティヴな性格特性語を、語"アメリカ"に対して、ネガティヴな性格特性語を繰り返し対呈示した。残り半数であるB群では、この組み合わせを逆転させて対呈示した。この手続の後、語"日本"および"アメリカ"の瞬間呈示が引き起こす自動的評価をemotional primingによって測定した。その結果、A群はB群に比べて、語"日本"をよりホジティヴに評価した。以上の結果から、国名のような社会的に有意味な態度対象に対する好き嫌いをevaluative conditioningによって操作可能であることが示された。 実験2では語ではなく、国家概念への好き嫌いを操作可能か検証した。全参加者の半数であるA群では、日章旗の画像に対してポジティヴな画像を、星条旗の画像に対してネガティヴな画像を繰り返し対呈示した。残り半数であるB群では、この組み合わせを逆転させて対呈示した。その後、参加者が"日本"という概念を"アメリカ"という概念も比べてどの程度好んでいるかを、潜在的連想テスト(Implicit Association Test)によって測定した。その結果、A群の参加者は、B群の参加者に比べて、日本を好む度合いがより強く、この差が有意であることが明らかになった。以上の結果から、語を用いた好き嫌いの学習によって、概念に対する好き嫌いをも操作可能であることが示された。
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