研究概要 |
平成18年度群馬県児童生徒学力診断テスト中学校3年生テストデータについて, 無回答と得点の観点から記述式問題の分類を行い, 記述式問題の特徴を教科横断的に検討することを試みた. 変数としては, 無回答率, 無回答識別指標, 項目得点率, 得点率識別指標の4つを用い, 国語, 数学, 社会, 理科のテストに含まれる記述式問題41問を分析対象として, 設問のクラスター分析を行った. 分析結果, 8つのクラスターが形成され, 記述式問題で測定しようとする能力について, 文章の要約, 具体例の記述, 理由の記述, 図表の読み取り, 図示, 言葉の当てはめ, 情報の取り出しなど, 教科を越えて共有されるいくつかの共通要素が存在し得ること, 測定しようとする要素の質や量の違いによって無回答率に差が生じること, 設問形式や解答類型など形式的な要因も無回答率に影響することなどが考察された. 無回答率と設問形式との対応を見てみると, 回答負荷が小さい項目では無回答率は1割未満と低く, 要約や具体例を挙げること, 理由を書くことなどの設問になると1〜2割程度の無回答率となり, 複数の資料からの情報の読み取りや, その情報を簡潔に表現する設問では, 無回答率は3割程度と高くなる. また, 設問の意味がよく理解できず, 何を書いたらよいのかよく分からない設問になると, 5割程度の生徒が無回答となる, ということが理解された.
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