研究概要 |
本研究の目的は,小・中学生の放課後の過ごし方が,彼らの適応感や学業への態度(学習意欲など)にどのような影響を与えるのかを検討することである。 本研究では,質問紙調査、観察、インタビューを主たる研究手法とした。質問紙調査は,平成19年度7月および3月に,小学4~6年生を対象としたアンケートを実施した。また,平成20年度7月および11月に中学生を対象としたアンケートを実施した。平成21年度は,中学生の部活動の観察を継続的に実施し,部活動への意欲を高めることを通して適応感を高める可能性を見出すことを試みた。また,21年度,22年度の質問紙調査の縦断的分析を進め,子どもの学習に対する態度と放課後活動,学校適応等との関連を検討した。 平成21年度の研究によって,以下の点が明らかとなった。 小学生において,学校外の時間で文字に接する(読書,新聞など)機会が多い子どもは,学習に対するポジティブな態度や学校適応感が高まる。そして,学校適応感が高まると,その後の学習意欲が高まることが示された。一方,学校外の時間でテレビやインターネットなどのメディアに接する時間が長すぎる子どもにおいて,意欲や適応感が低くなる可能性が示唆された。 中学生において,部活動に積極的に参加している生徒は,学習場面において粘り強さが高まることが示唆された。また,部活動への意欲を高める要因の一つとして,顧問教師や部活動指導員からの,肯定的フィードバック,また,状況に適切でどのような改善点が必要か理解できるフィードバックの重要性が見出された。
|