研究概要 |
本研究の目的は,(1)批判的思考,モニタリング,推論等に関する実験的研究によって得られた知見を現実の教授-学習場面に導入し,教育実践における効果の確認すること,および,(2)教育心理学領域から提供できる有用な批判的思考を含む思考力育成に寄与する教授-学習プログラムの開発することであった。 平成19年度は,教員養成系コースと心理学系コースの2つのコースで批判的思考力の育成を目指す教育プログラムの開発を試み,育成の効果測定を目的とする調査を実施した。その結果,次のことが明らかとなった。まず,両方のコースにおいて,育成を目指す批判的思考のイメージを具体的に持つことが,批判的思考態度(平山・楠見,2004)の向上に寄与することが明らかとなった。このような平成19年度の研究成果は,当初め研究計画におけるねらいを確認するものであるといえる。 本研究の成果は次の点で,大学教育ならびに大学や専門的教育課程におけるプログラム構築において意義深いものであるといえる。まず,批判的思考力の育成については,専門的なコースに応じたプログラム内容が必要であるということである。さらに,これら内容に応じた批判的思考力は,コースの専門性を超えた,一般的な批判的思考態度の育成に寄与するということである。
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