本年度は、他者(年上教員や事務職員)との相互作用場面を取り入れた、日常の教育実践に役立つと考えられる新任教員用プログラムを行い評価した。第1に国立A大学において、新任教員対象の合宿型FDワークショップ(1泊2日)を実施し、その短期的な効果について検討した。プログラムの内容は、アイスブレーキング、教授法やシラバス作りに関する講義、新任教員によるシラバス作りとそれをもとにしたミニ授業実施・授業検討会(年上教員よりコメント)であった。また、事務職員との合同ワークショップも行った。プログラムの後の質問紙調査では、例えば、「今回のプログラムに参加して、教育への関心が高くなりましたか?」に対して、参加者21名中、yesが19名、noが0名、無記入が2名であった。事務職員との合同ワークショップも概ね好評であった。第2に「授業コンサルテーション」として、各大学教員初任者の授業を参観し、フィールドノーツをとりつつ、授業をVTRに収めた。授業終了時には、学生へのアンケート(その日の授業で何を学んだかということと、授業に関する先生へのメッセージについて)を実施した。その後、授業記録や映像、学生アンケートをもとにして、当該教員以外にFD関係の教員や年長教員も参加する「授業研究会」を開催した。プログラムの後に気づきや効果に関するアンケート調査を12名に対して実施したところ、8名から回答があった。例えば、「授業研究会により、自分の授業について気づきがあった」に対しては7名が「あてはまる」、1名が「どちらかといえばあてはまる」と回答していた。第3に、私立K大学において若手教員とベテラン教員が協同で自らの学部について考えるワークショップを行った。これに関しては、分析中である。
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