本研究の目的は、中学生がどのように問題行動を正当化しているのかを明らかにし、問題行動やそれを支える学級内の文化に対して教師がどのような指導を行っていくべきなのかを検討することである。具体的には、(1) 中学生は実際に問題行動を正当化する動機の語彙をどのように用いているのか、(2) 中学生は問題行動の動機を対象(教師や友人)によってどのように表明し、使い分けているのか、(3) 荒れている学校や学級ではどのように動機の語彙が用いられているのか、(4) 問題行動を正当化する動機の語彙は教師の指導によってどのように変化するのかの4つを検討する。本年度は(3)荒れている学校や学級ではどのように動機の語彙が用いられているのか、(4)問題行動を正当化する動機の語彙は教師の指導によってどのように変化するのかを検討した。具体的には、荒れている学級の生徒が用いている動機の語彙を明らかにし、それと教師との関係について検討した。調査の方法としては、まず、先行研究と同様に学級の荒れを測定して荒れている学級と落ち着いている学級に分類した。次に、問題行動の経験と問題行動の動機の語彙、教師との関係、生徒文化、規範意識を測定し、荒れている学級と落ち着いている学級とでこれらの比較を行った。その結果、荒れている学級と落ち着いている学級では、生徒文化が異なることからも、用いられる動機の語彙が異なっており、教師との関係も影響していた。以上の研究の結果から、中学生が学級集団の中でどのように動機の語彙を用いて問題行動を正当化しているのかが明らかになった。
|