研究概要 |
本研究課題の三年目として,日本人大学生を対象に学業達成場面以外の諸場面における防衛的悲観主義を査定する尺度の作成をおこない,日本人における防衛的悲観主義のメカニズムを解明する知見を蓄積した。学業達成場面に限定して防衛的悲観主義の程度を査定するJDPIと同じ因子構造を目指し,スピーチ,友人関係および健康に関する各場面における防衛的悲観主義を査定する項目を収集して調査をおこなった結果,JDPIと同様の4因子構造となったのはスピーチ場面のみであった。本研究で収集した項目では,友人関係および健康に関する防衛的悲観主義の程度を査定できる尺度は作成することができなかった。今後,友人関係および健康に関する場面について過去の成功経験が多いと思われる調査協力者を対象に再度検討する必要がある。スピーチ場面に関しては学業達成場面と同様の4因子構造であることが明らかとなった。学業達成場面とスピーチ場面との関連性や独立性について今後検討をおこなっていく必要がある。 この研究結果については,金沢工業大学で開催された北陸心理学会第44回大会において「対人場面における防衛的悲観主義に関する検討」という題目で口頭発表をおこなって報告し,北陸心理学会第45回大会発表論文集の12~13頁において発表論文が掲載された。また,昨年度実施した研究の成果については,台湾の台北で開催された第4回アジア健康心理学会において「Examination of the relationship between defensive pessimism and causal attribution in Japanese undergraduate students.」という題目でポスター発表をおこなって報告した。
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