研究概要 |
1. 研究計画の概要 Norem and Cantor(1986)は,以下に示す特徴を持つ学生の存在を指摘し、防衛的悲観主義の概念を提唱した. (1) 過去の学業成績が優れているにもかかわらず,学業達成場面において常に非現実的に低い期待しか持たない. 2) 失敗や最悪の事態を想定してあれこれ考え込み,不安が非常に高い. (3) その一方で優れた成績を維持している.これまでは悲観的思考や態度は精神的健康に対して否定的な影響を与えるものとして認識されていたが,Noremらはこの防衛的悲観主義を肯定的なものとして考えている点で興味深い概念である.本研究代表者は,平成15,17,18年度の科学研究費若手研究(B)(防衛的悲観主義に関する日本人への適用可能性の検討)において日本人大学生を対象に学業達成場面における防衛的悲観主義の程度を測定する防衛的悲観主義尺を新たに開発した.この研究をふまえ,本研究では学業達成場面およびそれと異なる領域について防衛的悲観主義に関する検討をおこない,防衛的悲観主義のメカニズムを総合的に解明することを目的とした.
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