研究概要 |
心配は多くの臨床的問題で見られるが介入成績は芳しくない.心配が病理化する要因の一つとして(身体的な)情動の回避というものが指摘されているが,研究は手薄である.本研究では,身体に受容的な注意を向ける介入法(マインドフルネス瞑想)によって,心配への介入効果が向上するかどうかを検討する.そのために,(a)心配の増強要因としての情動回避傾向の測定,(b)マインドフルネス瞑想の心配低減効果の検討,(c)情動回避傾向の低減が介入効果を媒介しているかどうかの検討,を行う. 平成19年度は,研究の基盤となる尺度の開発を行った. 1.情動回避を測定する尺度の翻訳とりわけ身体的な情動からの回避と関連する尺度を探して日本語版を作成した.まず,Five Facet Mindfulness Questionnaire (F F M Q:Baerら,2006)やCognitive Avoidance Questionnaire(C A Q:Gosselinら,2002)の目本語版を作成し,信頼性と妥当性の検討を行った. 2.全般性不安障害の症状尺度の翻訳心配という認知的な症状のみならず,それにともなう身体反応をも測定する尺度であるGeneralized Anxiety Disorder Questionnaire(GAD-Q:Newmanら,2002)の日本語版を作成した.一定の信頼性とともに,心配性傾向との相関から,妥当性が示された. 上記1.と2.のような尺度は来年度以降の研究において役にたつことが期待される. 3.理論的研究今後の研究の基盤として,心配や心理療法の作用メカニズムに関する既存の知見をまとめた.その成果は心理学評論,日本心理学会シンポジウム,感情心理学会第1回セミナー,で発表した.
|