本研究の目的は、コンサルテーション技法を含めたカウンセラー養成プログラムを作成することにある。本年度の研究実施計画は、これまで行ってきたコンサルテーション技法の整理と有効性の検討に加え、カウンセリング技法の教授法を内外の資料から検討を行い、コンサルテーションを含むカウンセラー養成用の指導プログラムを作成することであった。コンサルテーション技法については、コンサルテーションを受ける側(コンサルティ)を対象に行ったインタビューの分析やコンサルテーション業務を行ったことのある心理士(コンサルタント)への調査を実施、その結果を分析した。また様々な文献を元に分析を行った。これらの結果から、1対1のカウンセリングを行う際とは視点や技法が異なることが明らかとなった。そこでカウンセラー養成プログラムには、1対1のカウンセリング技法に加え、コンサルテーションに必要と考えられる視点や技法、姿勢をも取り入れた指導プログラムを考案し、実際に学部学生を対象としたトレーニングに取り入れた。我が国では、コンサルテーション技法について体系的にまとめられたものや、コンサルテーション技法を含む養成プログラムについてはほとんど存在しないことが確認され、本研究の重要性や意義が本年度の研究からも再確認されたと言える。本研究の調査から、現場で働く心理士たちが半ば試行錯誤でコンサルテーション業務を行っていること、それ故に行う上で大きな困難や苦悩を抱えていること、それにも関わらずコンサルテーション技法について体系的に訓練を受ける機会がほとんどないことなども明らかになった。本プログラムのようにコンサルテーション技法を含む指導プログラムを学部や大学院などカウンセラー、心理士養成機関で積極的に取り入れていく必要性が示唆されたと言えよう。なお今後は本研究で抽出されたコンサルテーション技法やその在り方、養成プログラムについて実証的に検討していくことが望まれる。
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