研究概要 |
Acceptance and Commitment Therapy(ACT ; Hayesら,1999)は、アクセプタンスと、日常生活の行動変化を促すことを目標としている。その方法として、独特のメタファーやエクササイズといった技法が提案されている。特に本研究では、アクセプタンスを獲得するための技法(以下、「アクセプタンス技法」とする)の効果について検討することが主たる目的である。 本研究では、大きく4つの研究に分けて実施した。その結果、(1)アクセプタンス方略は抑制方略と比較すると効果的である(第1、3研究)。また(2)アクセプタンス方略は注意逸らし方略と比較すると差異が認められなかった(第2研究)。これはACTの中で短期的影響と長期的影響との観点で、効果の違いを検討する必要があると考えられる。さらに(3)より臨床的場面では、知識の変化が態度の変化を優先すること明らかになった(第4研究)。これはACTの勧める態度と逆の方向性が示されており、運用の危険性が示唆される。本研究では、臨床群に対する効果を確認しておらず、今後の課題として残された。また言語による行動の影響(からの脱却)という点では、応用行動分析学をはじめ他の心理学的研究においても、示唆的な視点を提案している。臨床技法として急速に広がっていた半面、基礎理論(関係枠理論やルール支配行動)上の検討が必要であると考えられる。
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