研究概要 |
近年,児童虐待や不登校など子どもをめぐる問題は大きな社会問題となっており,行政をはじめ様々な子育て支援システムの整備が緊急の課題とされている。しかし,これらの事業は幼児期の親を対象としたものが主流であり,小学校高学年から中学生という思春期の子どもの親を対象とした支援プログラムはほとんど見当たらない.そこで本研究では,不登校等の不適応行動が多くみられ,かつ接し方が難しくなる思春期の子どもを持つ親に着目し,(1)親集団を対象とした子育て支援プログラムを作成し,(1)親の養育スキルやストレス反応,子どものストレス反応や家庭ストレッサー等への効果を検討することを目的とした. 平成19年度は情報収集および具体的な親支援プログラムの開発を行った.情報収集を行った結果,親支援プログラムに関する従来の研究の多くは,不登校などの問題を抱えた子どもや乳幼児の親を対象としたものであった.また,認知行動療法を基盤としたプログラムとしては,健常の児童生徒を対象としたものはほとんど見当たらないものの,幼児や自閉症をはじめとした発達障害児の親を対象としたものがいくつか見受けられた.そこで,これらを参考にして,(1)思春期の心理的特徴および子どもへの上手な接し方に関する心理教育(認知行動論に基づいた内容),(2)子どもへの接し方に関するセルフモニタリングおよび行動変容のための目標設定と実施(ホームワーク),(3)子育てに関する親同士のグループディスカッションから構成されたプログラム(計5セッション)が開発された.
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