研究課題
本研究の目的は、致死的不整脈に対して植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator)を用いた治療を行っている患者(以下ICD患者と略記)を対象に、(1)不整脈発生およびICDの電気的作動と不安障害・気分障害との関連を調べ、(2)ICD作動への不安からQOLが低下している患者に認知行動療法に基づく心理教育プログラムを行い、その有効性を評価することであった。本研究への協力に同意した新規デバイス植え込み患者は24名で、視力低下による調査票回答困難など身体的な理由で2名が対象から外れ、22名(平均年齢50.1歳SD10.1)について植込み前から1年間の追跡調査を行った。22名のうち8名(36.4%)が女性、ICD利用が14名、CRTD利用が8名であった。また、突然死の一次予防のためのデバイス植込みは16名(72.7%)で。抗不安薬を内服している者は2名であった。MINIによる精神疾患の診断に該当するものは1名(広場恐怖を伴うパニック障害の既往)であった。ICD植込みから1年以内にICD作動を伴う循環器的イベントが生じたものは3名であった。この3名と、作動を経験しなかった他の対象者の間に、植え込み時点でSDS、STAI、SF-36などの得点に有意差は認めなかった。ICDの作動を認めた者のうち1名は、不安を伴う適応障害と診断され、認知行動療法に基づく心理教育プログラムを行った。介入後、作動への不安による活動範囲の縮小、未来の短縮した感覚は徐々に緩和され、ICD作動前と同程度の日常生活が可能となった。
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呼吸と循環
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Pacing Clin Electrophysiol
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