本研究では精神疾患である摂食障害の危険因子を同定することを主な目的としている。そのため、以下の3つの観点から検討を行うものである。 (1) <摂食障害のある女性と対照群の女性との比較> 摂食障害は有病率が0.5~3%であるため、重篤な精神疾患であるにも関わらず、医療機関にかかる者はそれほど多くない。従って、摂食障害のある女性を参加者として確保することはあまり容易ではないと言える。本研究では摂食障害のある女性約100名のデータを有しており、大変貴重である。これらのデーを用いて、摂食障害のある女性と、摂食障害のない女性50名を比較し、摂食障害のある女性の特徴を心理社会的な側面から検討を行う。 (2) <青年期前期、中期の女子生徒の体重や体型へのこだわりの発達に関する検討> 女子の体重や体型へのこだわりがどのように発達するのかを検討するために、女子中学生、高校生を対象に、食行動・態度と、パーソナリティ、自己評価などについて、2時点での短期縦断研究を行う(1時点目と2時点目の間は約3~4ヶ月間)。 (3) <青年期後期および成人期の女性の体重や体型へのこだわりと抑うつ、ソーシャルサポートに関する検討> 対人関係療法の観点から、摂食障害の発症や維持には対人的ストレスが関与していることが明らかにされている。青年期後期、成人期の女性を対象に、1年おきのフォローアップ研究を3回行うことで、抑うつなどの得点を調整しながら、対人的ストレスやソーシャルサポートが不健康な食行動に影響を与えるかどうかについて検討を行う。
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