研究概要 |
聴くスキルの生起過程に関する検討 Dodgeの社会的情報処理理論などをもとに人の話を聴くスキルについて検討する中で, 聴くスキルに関しては, 情報処理のプロセス自体に加えて情報処理のプロセスに影響する情動, 動機づけ, パーソナリティ資源などの要因も重要な役割を果たすことが示唆された。そのため, まず聴くスキルを可能とさせる動機づけ要因およびパーソナリティ要因がどのようなものであるかについて検討した。その結果, 感情コントロールなどの感情的要因が重要であることや, 積極的かつ能動的な側面に関する性格特性, 受容性に関する性格特性などが聴くスキルの高さに関連があることが示唆された。 聴くスキルの阻害要因に関する検討 聴くスキルを有している者においても上手に聴く行為が出来なくなる阻害要因について, 状況要因および相互作用の対象の要因から検討した。 聴くスキルの形成過程に関する検討 聴くスキルの形成過程について, 家庭, 学校などでの経験や個人の志向性や動機づけとの関連を検討した。その結果, 聴くスキルの高い親や教師が存在するなどのモデリング機会の多さや, 上手に聴くことによる仲間関係の良好化や親や教師からの肯定的な反応などによる強化などの形成過程などの存在が示唆された。次に, 仲間との遊びと聴くスキルを含めた社会的スキルの形成との関連を検討し, 仲間との遊びの中からチームワークやリーダーシップを学ぶことが聴くスキルの形成に重要であることを確認した。 上記3方面の検討をもとに得られた知見を統合した聴くスキル向上のためのトレーニング手法の開発が行われた。
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