今年度は、遺族ケアサービスの利用ニーズを評価するため、仏壇購入者1000名を対象とした郵送による質問紙調査を実施した。152名から有効回答が得られ、有効回答率は15.2%であった。性別は男性が50名、女性が100名で、不明が2名であり、年齢は30~90歳で、平均62.9歳 (SD=12.5) であった。故人からみた続柄は配偶者が111名、子が22名、親が6名、他6名、不明7名であった。故人の死から調査時までの期間は2~166カ月で、21.2カ月 (SD=19.1) であった。故人の死因は、病気が136名で、事故が6名、他が3名、不明7名であった。仏壇店のグループ企業である葬儀社が提供している遺族のサポートグループへの参加状況について、「参加したことがある」が12%、「関心はあったが、参加したことはない」が30%、「参加したことはなく、関心もない」が30%、「存在を知らなかった」が23%であった。一方で、精神科医やカウンセラーへの受診に関しては、「死別前から受けていた」が5%、「死別後に初めて受けた」が4%、「受けたいと思ったことはあったが、受けなかった」が11%、「受けたいと思ったことはない」が80%であった。本研究は回収率が低かったため結論的なことは言えないが、実際に遺族ケアサービスを利用した人以上に、利用を逡巡した経験のある人は多く、遺族ケアサービスに対する潜在的ニーズは決して小さくないと思われる。なお本研究では、遺族にとっての仏壇の存在についても検討した。その結果、仏壇に参る理由として、「故人と対話するため」との回答が最も多く、また「自分の気持ちが落ち着くため」との回答も半数近くに見られた。遺族ケアサービスに対するニーズが存在する一方で、多くの日本人遺族は仏前での故人との対話を通して、故人と向き合い、死別にうまく適応している可能性も示唆される。
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