本研究は親密な関係における攻撃性を個人の特性としてではなく、その個人が有する関係の取り方を規定する潜在的な表象の観点から捉えるものである。そのための方法として、Waters&Waters (2006)を参考に、NaS法、およびNaSA法を作成し、実施した。NaS法は不安や危険が関係の中でどのように取り扱われるかに関する表象を捉え、NaSA法は攻撃性の取り扱い関する表象を捉えことを想定している。信頼性に関しては一定の成果が得られたが、妥当性の確認は課題として残される部分もあった。NaSA法は攻撃性の組織化と理論的に予想できる形で関連し、それは顕在的な表象(対人関係の取り方のスタイル)との関連よりも強かった。しかし、NaS法ではそうした関連は見られず、攻撃性の組織化にはNaSA法で捉えられる潜在的な攻撃性と安全の表象が関わることが示唆された。
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